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誰もが恐れ、忖度していた…メッシとバルサの“蜜月”が破綻した理由

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FCバルセロナはこの10年にわたって、世界のサッカーファンを最も魅了したクラブだった。そしてその中心にはメッシが君臨していた。

だが、13歳でバルサに入り、17歳からトップチームで活躍してきたメッシが、ついにこの愛着のあるクラブとの別れを決断しようとしている。破綻に至った原因は何だったのか。

サッカー史上最高といっても過言ではないかもしれないその選手は、キャリアのほとんどをバルセロナ郊外の何の変哲もない町カステイダフェルスで暮らしてきた。いまFCバルセロナに関する本を執筆中の私は以前、地元住民に案内されて車でリオネル・メッシ(33)の家の前を通ったことがある。

そのとき気づいたことが一つある。それは15年にわたって毎試合のように繰り広げられてきた、あの燦然と輝くサッカーが退屈な生活によって支えられてきたということだ。

メッシの家は地元のビーチから丘を一つ越えたところにある。隣の家も買ったので、家の敷地には小さなサッカーコートも備わる。ヤシの木とブーゲンビリアと白い壁でプライバシーが確保されている。カリフォルニア州オレンジ郡の標準的な富裕層の邸宅を想起させる家である。

仕事を終えたら、サッカーのことは忘れる。それを手伝ってきたのが妻のアントネッラだ(メッシがアルゼンチンのロサリオで暮らしていた頃からの幼なじみ)。3人の男の子の面倒を見ていると、夕方には「ぼろぼろに撃破」され、夜も早いうちに寝てしまうとメッシは語っている。
試合のある日は本拠地「カンプ・ノウ」で輝いた後、ほとんど誰もいない道路を25分車を走らせて家に帰る。近所に住む親友のルイス・スアレスと同じ車に乗ることが多い。それから3日後には、また同じことを繰り返す生活だった。

2020年8月25日、メッシはバルサに文書を送付し、違約金なしでの退団を求めたという。8月14日にバイエルン・ミュンヘンに8-2で大敗したのをきっかけにバルサは内部崩壊したのである。FCバルセロナがFCメッシに姿を変えていた時代に幕が下りたと言ってもよさそうだ。

選手の力が強大化したサッカー界の変化

ここ四半世紀のサッカー界は、いわゆる「代えのきかない選手」が権力を持つようになったのが特徴だった。クラブ間を移動し、数百万ユーロの資産を持つ彼らが、権威主義的な監督のもとでプレーすることを拒否するようにもなっていたのだ。

なかでもバルセロナは、ほかのクラブより群を抜いて選手が持つ力が大きくなっていた。それはこのクラブが何年もの間、ほかのどのクラブより優秀な選手を集められたことと関係している。メッシやスペインの黄金世代がプレーしていたので、このクラブは2009~2019年の間、毎年最低一個のタイトルを獲得し続けてきたのだ。

メッシ時代の前のバルセロナは、次の試合が次の危機になりかねない「永遠の現在」を生きることが多かったクラブだった。メッシは、そんな組織を守る存在となった。メッシのおかげで経営が楽になったのだ。トップチームがレアル・マドリードに勝った日の翌朝、このクラブの全職員がくつろいだ雰囲気で笑顔を見せながら職場に出てきたという。

結果を決めるのは、いちばん優れた選手だというのがメッシの信条だった。バルセロナのプレーが精彩を欠いていたら、試合を変える責任は自分にあると考えるのがメッシ流なのである。
チームメートに戦術上の指示を出したり、キックオフの前にロッカールームでチームに何か語ったりしたら、その言葉は、いわば法律だった。監督もそれに従わなければならなかった。2012年以降、バルセロナの監督に、あまり有名でない指導者が起用されてきたのは、メッシとの共存を考えなければならない事情もあったのだ。

クラブの内部に詳しくない人は、メッシのことを、おとなしくて物静かな人だと勘違いしていることが多い。だが、バルサの内部ではメッシを恐れる人が多い。バルサの元会長の一人は私にこう言った。

「メッシは何も言う必要がないんです。あれほど強力なボディランゲージは、これまで生きてきて、ほかで見たことがありませんね。何かを提案されたとき、ロッカールームでちょっと目配せするだけで、そこにいる全員が、メッシが賛成なのか否かをわかるのです。人が思っているよりも、彼ははるかに頭がいいです」

「メッシは何をしたいのでしょうか」と私は尋ねてみた。

「彼がしたいのはサッカーですよ」

それがその元会長の答えだった。要するにメッシはバルサが自分の思い描くとおりのサッカーをするのを求めたということだ。

メッシの意向を誰もが気にしていた

メッシ自身は権力を握ることに強い関心があったわけではない。むしろクラブのディレクターや監督が、自分の意向を汲んで、すべてのことをしてくれることを望んだ。

メッシは選手の補強や監督の任命にも口出ししているなどと言われてきたが、メッシ本人は、そのことを苛立ちながら何度も否定してきた。実際、メッシが拒否権を持っていたという事実はない。

だが、バルサが大きな決定を下すとき、必ずメッシの意向に配慮してきたことも事実だ。昨夏、メッシが、パリ・サンジェルマンに2017年に売却されたブラジル人選手ネイマールをチームに戻すことを求めたことがあった。

バルセロナのフロントは、ケガの多い27歳の選手に2億ユーロも出すつもりはなかった。しかし、フロントが2ヵ月ほど、ネイマール再獲得に動いているフリをしてみせたのは、メッシに「申し訳ない。手を尽くしてみたが、ダメだった」と言いたかったからなのだろう。

メッシは感心しなかった。才能のある選手を補強する仕事に失敗したのはフロントのせいだと言って責めた。
バルサは2014年の夏以降、選手の補強のために10億ユーロを超える額を費やしてきた。この金額は、ほかのどのクラブよりも多い。だが、その結果としてできたのは、年齢層が高めで、リセールバリューがほとんどない選手が集まったチームだったのだ。

これにはメッシの世代がチームに長居しすぎたことも関係している。バルサの選手の平均給与は、全チーム・スポーツのなかでも世界最高水準だ。同僚は優秀な人ばかり。加えて欧州で最も暮らしやすい都市で生活できるのだから、いったい誰がそんなチームから去ろうとするだろうか。

選手たちは少しずつトレーニングの負荷を軽くしていき、試合でも以前ほどプレスをかけなくなった。それでもほとんどの対戦相手に勝てたのは、才能とノウハウのおかげだったのだろう。

バイエルン戦に臨んだバルサのフィールドプレーヤーの6人が31歳以上だった背景には、そんな事情がある。メッシは何ヵ月も前から現状のチームでは優勝を狙えないと警告を発していた。

未来について尋ねられると、メッシは常々こう語ってきた。

「いちばん大事なのは、勝利するためのプロジェクトを持つことです」

いまのバルセロナでは、そんなプロジェクトは持てなさそうだ。いまクラブが取り組んでいるのは、年齢が高い選手を取り除いていくことだ。33歳のスアレスも戦力外とされた。一方、若いスター選手を買うお金も、いまのバルサにはない。

かつて世界屈指の育成組織と称賛された「ラ・マシア」だが、この10年で偉大な選手となったのはチアゴ・アルカンタラの一人だけだ。そのチアゴ・アルカンタラがバイエルンの選手として8月の試合でバルセロナを撃破した後、チャンピオンズリーグを制覇したのである。

メッシとバルサの20年に及ぶ結婚に終止符が打たれたようだ。この結婚生活が、世界の人々にそれなりの量の幸福をもたらしてきたことだけは間違いないだろう。

Simon Kuper

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/c50e99aee51b1979e65572036bf770c3343bc053

 

1:名無しさん@さかまと!

「自分が辞めるから残ってくれ」というのはまあわかる。
だが、一部報道である「公の場で残留を宣言してほしい」という要望はありえない。
そういうところやで、のび太のダメなところは。

 

2:名無しさん@さかまと!

メッシが見えてるスペースを共有できる選手が今までネイマールくらいだったんだろうな
もちろんチャビやイニエスタには見えてた訳だけど彼らとはもう一緒に出来ない
だからネイマールに固執したんだと思うよ
それなのにフロントは見当違いな選手ばかり連れて来て実際合わないのを実感して、望む選手を連れてこれないなら自分から動くしかないと思って移籍したくなったんじゃないかな
そう考えれば確かにデブライネは同じくらいの視野を共有出来ると思う
噛み合わないんじゃないかって意見もあるけど多分あの次元の選手はお互いの理解者を常に求めてるから大丈夫だろう
メッシとネイマールみたいな個が強い選手同士が噛み合ってたんだし
それにペップのお墨付きもある
ともすればメッシは移籍した方が幸せな気がするし、それがバルサじゃないのはクレとしては心苦しいけど今まで夢を見させて貰えた分最後くらいメッシの望むようにしてもらいたい

 

3:名無しさん@さかまと!

補強に失敗したらメッシの指示とか常にメッシに責任を負わせてきたからな
我慢の限界になるのも分かる

 

4:名無しさん@さかまと!

いい記事だ。釣り目的のくだらない記事に埋もれてしまうのがもったいない。

 

5:名無しさん@さかまと!

昔トヨタカップで、さんまにクソギレした表情見せてたの思い出した。
なんじゃその質問は、と分かりやすく伝える。
メッシの能力なんだろねー

 

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